不動産リースバックをするときに重要なのは「いくらで売れるのか?」つまり、売却額(買取額)になります。今回は、不動産リースバックの査定方法と査定額の決まり方・高値売却のコツについて解説します。
不動産リースバックの査定方法と売却額(買取額)の決まり方
不動産リースバックの査定とは?
を言います。
不動産リースバックの査定方法は、リースバック業者によって異なりますが、一般的には
で計算されます。
- 一戸建て → 退去後、解体して、土地として売却
- 中古マンション → 退去後、(修繕して)、そのまま売却
の2通りと考えて良いでしょう。
一戸建てのケースで解説すると
で計算されます。
中古マンションのケースは「解体するための費用」が「修繕するための費用」に変わるため
で計算されます。
掛け目(かけめ)とは?
を言います。
- 預金:100%
- 有価証券:90%
- 不動産:70%
のように設定されるものです。
不動産の場合は、価格変動が激しいため、市場価格で査定してしまうと、不動産価格が下落したときにリースバック業者が損をしてしまう可能性があります。そうならないように70%程度の掛け目を採用して、買取額を査定するケースが多いのです。
不動産リースバックの査定方法の例
ケース1
- 物件:戸建て
- 土地価格:2,000万円
- 掛け目:70%
- 解体費用:100万円
- リースバック業者の経費:50万円
- リースバック業者の期待利益:200万円(市場価格の10%)
買取額 = 土地価格:2,000万円 × 掛け目:70% - 解体費用:100万円 - リースバック業者の経費:50万円 - リースバック業者の期待利益:200万円 = 1,050万円
ケース2
- 物件:戸建て
- 土地価格:2,500万円
- 掛け目:70%
- 解体費用:200万円
- リースバック業者の経費:80万円
- リースバック業者の期待利益:375万円(市場価格の15%)
買取額 = 土地価格:2,500万円 × 掛け目:70% - 解体費用:200万円 - リースバック業者の経費:80万円 - リースバック業者の期待利益:375万円 = 1,095万円
ケース3
- 物件:中古マンション
- 物件の市場価格:1,200万円
- 掛け目:70%
- 修繕費用:50万円
- リースバック業者の経費:50万円
- リースバック業者の期待利益:120万円(市場価格の10%)
買取額 = 物件の市場価格:1,200万円 × 掛け目:70% - 修繕費用:50万円 - リースバック業者の経費:50万円 - リースバック業者の期待利益:120万円 = 620万円
ケース4
- 物件:中古マンション
- 市場価格:2,000万円
- 掛け目:70%
- 修繕費用:50万円
- リースバック業者の経費:80万円
- リースバック業者の期待利益:300万円(市場価格の15%)
買取額 = 物件の市場価格:2,000万円 × 掛け目:70% - 修繕費用:50万円 - リースバック業者の経費:80万円 - リースバック業者の期待利益:300万円 = 970万円
前述した計算からもわかる通りで
不動産リースバックの査定額を知りたい場合は、市場価格(戸建ての場合は「土地価格」。中古マンションの場合は「中古マンション価格」)がわかれば、ある程度の目安はつくことになります。
物件の市場価格の調べ方
【戸建て売却の場合】土地の市場価格の調べ方
戸建ての売却の場合は「土地の評価額」を調べることになります。
土地の評価額というのは、公的な機関が査定しています。
- 国土交通省が定める「公示地価」
- 都道府県が定める「基準地価」
- 国税庁が定める「路線価」
- 市区町村が定める「固定資産税評価額」
の3つがあります。
国土交通省が定める「公示地価」
を言います。
こちらで確認できます。
都道府県が定める「基準地価」
を言います。
公示地価とは違い、都市やその周辺地域という縛りがありませんので、都市部以外の場所の地価も含めれるのが「基準地価」の特徴です。「公示地価」の補完的な役割を持ちます。
国税庁が定める「路線価」
を言います。
課税の基準となるものですので、国税庁が調査するものです。
- 固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる「固定資産税路線価」
- 相続税や贈与税の基となる「相続税路線価」
があります。
こちらで確認できます。
市区町村が定める「固定資産税評価額」
市区町村は、固定資産税を徴収するために、固定資産税路線価を基準として「固定資産税評価」を決定します。
これを基準として、固定資産税が決められることになります。
土地の評価額の計算方法
「公示地価」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」は、取引される実勢価格・市場価格よりも安く設定されていることが一般的です。
- 公示地価・基準地価 = 市場価格・実勢価格・流通価格の90%程度
- 路線価 = 市場価格・実勢価格・流通価格の80%程度
- 固定資産税評価 = 市場価格・実勢価格・流通価格の70%程度
という関係性になっています。
土地の評価額(市場価格・実勢価格・流通価格)を知るためには
- 公示地価・基準地価 × 1.1倍
- 路線価 × 1.25倍
- 固定資産税評価 × 1.4倍
をしなければならないということです。
路線価が1,600万円の土地のばあいは、土地の評価額(市場価格・実勢価格・流通価格)は2,000万円程度になるということです。
【中古マンションの売却の場合】中古マンションの市場価格の調べ方
不動産ポータルサイトで同じマンションの物件・近隣物件の売却価格を調べる
大きなマンションの場合には、他の部屋が売りに出ていることも多く、間取りや階数で金額は多少変動するものの、いくらで売れているのか?(市場価格・実勢価格・流通価格)の参考にはなります。
同じマンションの売り物件が出ていない時は
- 近隣マンション(駅からの距離)
- 近い平米数
- 近い間取り
- 近い階数
- 近い築年数
の売り物件の価格を参考にすると良いでしょう。
SUUMO
アットホーム
HOMES
不動産査定サイトで査定してみる
不動産査定サイトに査定依頼すれば、比較的正確な査定額を提示してもらえます。
ただし、若干、査定サイトは「売却誘導」させたいがために高めの査定額が提示されることが多いので、(市場価格・実勢価格・流通価格)は、8割~9割ぐらいになると考えておいた方が良いでしょう。
おすすめの不動産査定サイトはこちら
不動産リースバックの高値売却のコツ
不動産リースバック査定の計算方法は
です。
- 市場価格の査定は、どのリースバック業者でも大きく変わらない
- 掛け目は、どのリースバック業者でも大きく変わらない70%
- 解体費用(修繕費用)は、どのリースバック業者でも大きく変わらない
- リースバック業者の経費は、リースバック業者によって若干異なる
- リースバック業者の期待利益は、リースバック業者によって大きく異なる
という特徴があります。
市場価格や掛け目、解体費用(修繕費用)というのは、どのリースバック業者に依頼してもほぼ同じです。
大きく差が出てくるのは「リースバック業者がどのくらいの経費を見込んで、どのくらいの利益を取りたいのか?」という金額です。
これは、リースバック業者ごとに異なり
「期待利益を下げても、物件数・実績が欲しい」と考えるリースバック業者もあれば
「多くの買取をするよりも、利益率を上げたい」と考えるリースバック業者もあれば
「退去後にリノベーションで稼げるから、利益率は低くても良い」と考えるリースバック業者もあれば
「退去後に新築戸建を分譲して稼げるから、利益率は低くても良い」と考えるリースバック業者もあれば
「定期賃貸借契約の延長ができない設定の分、期待利益は低くできる」というリースバック業者もあれば
「キャッシュが余っているので、期待利益は低くできる」というリースバック業者もあります。
千差万別の考え方があるのです。
「どういう経営方針で、どういう利益を見込んでいるのか」の具体的な数値は、対外的に公開されるものではありません。
つまり、少しでも高値で不動産リースバックをしたいのであれば
というのが「確実な方法」なのです。
これ以外の方法は、ほぼありません。
不動産リースバックの高値売却の注意点
家賃(リース料)との兼ね合いもあるので注意
リースバックの場合は「査定額が高いこと」だけが正義ではありません。
査定額がいくら高くても、毎月の支払う家賃(リース料)が高く設定されていて、返済が厳しくなってしまうことが予想されるのであれば、良い不動産リースバックとは言えません。
- 家賃(リース料)の安さを重視するのか?
- 買取額(売却額)の高さを重視するのか?
両方のバランスを見ながら、理想の不動産リースバック業者を見つける必要があります。
基本的には
- 買取額(売却額)が高ければ高いほど、家賃(リース料)は高くなる
- 買取額(売却額)が安ければ安いほど、家賃(リース料)は安くなる
関係にあります。
ただし、不動産リースバック業者がどのくらいの利回りを期待するのか?(期待利回り)によっても、このバランスは変動します。
期待利回りとは
を言います。
不動産リースバックでは5.0%~10.0%が相場です。
「不動産リースバックの売却額(買取額)は、どういう計算になっているのでしょうか?」
「不動産リースバックの査定方法を教えてください。」