不動産リースバックの査定方法と売却額(買取額)の決まり方・高値売却のコツ

man
「不動産リースバックの査定は、どうやって行われるのでしょうか?」
「不動産リースバックの売却額(買取額)は、どういう計算になっているのでしょうか?」
「不動産リースバックの査定方法を教えてください。」

不動産リースバックをするときに重要なのは「いくらで売れるのか?」つまり、売却額(買取額)になります。今回は、不動産リースバックの査定方法と査定額の決まり方・高値売却のコツについて解説します。

不動産リースバックの査定方法と売却額(買取額)の決まり方

不動産リースバックの査定とは?

リースバック業者が「いくらで買い取れるのか?」を試算して、ご自宅を売却したい方に「買取額」を提示する手続きのこと

を言います。

不動産リースバックの査定方法は、リースバック業者によって異なりますが、一般的には

「退去時に売却した場合、どのくらいの利益が出るのか?」

で計算されます。

  • 一戸建て → 退去後、解体して、土地として売却
  • 中古マンション → 退去後、(修繕して)、そのまま売却

の2通りと考えて良いでしょう。

一戸建てのケースで解説すると
買取額 = 売却想定額(市場価格 × 掛け目) - 解体するための費用 - リースバック業者の経費 - リースバック業者の期待利益

で計算されます。

中古マンションのケースは「解体するための費用」が「修繕するための費用」に変わるため
買取額 = 売却想定額(市場価格 × 掛け目) - 修繕するための費用 - リースバック業者の経費 - リースバック業者の期待利益

で計算されます。

掛け目(かけめ)とは?
価格変動リスクを見込んで、実際の市場価格を低めに見積もりための割合のこと

を言います。

  • 預金:100%
  • 有価証券:90%
  • 不動産:70%

のように設定されるものです。

不動産の場合は、価格変動が激しいため、市場価格で査定してしまうと、不動産価格が下落したときにリースバック業者が損をしてしまう可能性があります。そうならないように70%程度の掛け目を採用して、買取額を査定するケースが多いのです。

不動産リースバックの査定方法の例

ケース1

  • 物件:戸建て
  • 土地価格:2,000万円
  • 掛け目:70%
  • 解体費用:100万円
  • リースバック業者の経費:50万円
  • リースバック業者の期待利益:200万円(市場価格の10%)

買取額 = 土地価格:2,000万円 × 掛け目:70% - 解体費用:100万円 - リースバック業者の経費:50万円 - リースバック業者の期待利益:200万円 = 1,050万円

ケース2

  • 物件:戸建て
  • 土地価格:2,500万円
  • 掛け目:70%
  • 解体費用:200万円
  • リースバック業者の経費:80万円
  • リースバック業者の期待利益:375万円(市場価格の15%)

買取額 = 土地価格:2,500万円 × 掛け目:70% - 解体費用:200万円 - リースバック業者の経費:80万円 - リースバック業者の期待利益:375万円 = 1,095万円

ケース3

  • 物件:中古マンション
  • 物件の市場価格:1,200万円
  • 掛け目:70%
  • 修繕費用:50万円
  • リースバック業者の経費:50万円
  • リースバック業者の期待利益:120万円(市場価格の10%)

買取額 = 物件の市場価格:1,200万円 × 掛け目:70% - 修繕費用:50万円 - リースバック業者の経費:50万円 - リースバック業者の期待利益:120万円 = 620万円

ケース4

  • 物件:中古マンション
  • 市場価格:2,000万円
  • 掛け目:70%
  • 修繕費用:50万円
  • リースバック業者の経費:80万円
  • リースバック業者の期待利益:300万円(市場価格の15%)

買取額 = 物件の市場価格:2,000万円 × 掛け目:70% - 修繕費用:50万円 - リースバック業者の経費:80万円 - リースバック業者の期待利益:300万円 = 970万円

前述した計算からもわかる通りで

teacher
概ね、市場価格に対して、半額ぐらいの買取額が提示されることが多くなってしまうのです。

不動産リースバックの査定額を知りたい場合は、市場価格(戸建ての場合は「土地価格」。中古マンションの場合は「中古マンション価格」)がわかれば、ある程度の目安はつくことになります。

woman
「なぜ、戸建ての場合は、土地価格で計算するの?建物の価格は含まれないの?」
teacher
不動産リースバックを希望する方の場合の多くは、築年数が20年以上の中古戸建てが多く、建物の価値は、ほぼゼロになっていることが多いのです。また、中古の戸建ては売却がしにくく、土地だけの方が高値で売却できるケースが多いため、「更地にしてから売却」という考え方が一般的なのです。

物件の市場価格の調べ方

man
市場価格がわかれば、だいたいリースバックの査定額がわかるということですが、ではどうやって「市場価格」を調べれば良いのでしょうか?

【戸建て売却の場合】土地の市場価格の調べ方

戸建ての売却の場合は「土地の評価額」を調べることになります。

土地の評価額というのは、公的な機関が査定しています。

  • 国土交通省が定める「公示地価」
  • 都道府県が定める「基準地価」
  • 国税庁が定める「路線価」
  • 市区町村が定める「固定資産税評価額」

の3つがあります。

国土交通省が定める「公示地価」

国(国土交通省土地鑑定委員会)が法令に基づき定期的に評価されている公的な土地の評価(地価)の中で、一般に公表されるもののこと

を言います。

こちらで確認できます。

都道府県が定める「基準地価」

都道府県が調査するもので、土地取引の 目安として活用されるもの

を言います。

公示地価とは違い、都市やその周辺地域という縛りがありませんので、都市部以外の場所の地価も含めれるのが「基準地価」の特徴です。「公示地価」の補完的な役割を持ちます。

国税庁が定める「路線価」

課税価格を計算する基になる、市街地の道路に面する宅地の評価額のこと

を言います。

課税の基準となるものですので、国税庁が調査するものです。

  • 固定資産税や都市計画税・不動産取得税・登録免許税の基となる「固定資産税路線価」
  • 相続税や贈与税の基となる「相続税路線価」

があります。

こちらで確認できます。

市区町村が定める「固定資産税評価額」

市区町村は、固定資産税を徴収するために、固定資産税路線価を基準として「固定資産税評価」を決定します。

これを基準として、固定資産税が決められることになります。

土地の評価額の計算方法

土地の評価額(市場価格・実勢価格・流通価格) = 「公示地価」「基準地価」「路線価」ではありません。

「公示地価」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」は、取引される実勢価格・市場価格よりも安く設定されていることが一般的です。

  • 公示地価・基準地価 = 市場価格・実勢価格・流通価格の90%程度
  • 路線価 = 市場価格・実勢価格・流通価格の80%程度
  • 固定資産税評価 = 市場価格・実勢価格・流通価格の70%程度

という関係性になっています。

土地の評価額(市場価格・実勢価格・流通価格)を知るためには

  • 公示地価・基準地価 × 1.1倍
  • 路線価 × 1.25倍
  • 固定資産税評価 × 1.4倍

をしなければならないということです。

路線価が1,600万円の土地のばあいは、土地の評価額(市場価格・実勢価格・流通価格)は2,000万円程度になるということです。

【中古マンションの売却の場合】中古マンションの市場価格の調べ方

不動産ポータルサイトで同じマンションの物件・近隣物件の売却価格を調べる

一番手っ取り早し方法は「不動産ポータルサイト」で、売却予定の物件と同じマンションの物件の売値を調べることです。

大きなマンションの場合には、他の部屋が売りに出ていることも多く、間取りや階数で金額は多少変動するものの、いくらで売れているのか?(市場価格・実勢価格・流通価格)の参考にはなります。

同じマンションの売り物件が出ていない時は

  • 近隣マンション(駅からの距離)
  • 近い平米数
  • 近い間取り
  • 近い階数
  • 近い築年数

の売り物件の価格を参考にすると良いでしょう。

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不動産査定サイトで査定してみる

不動産査定サイトに査定依頼すれば、比較的正確な査定額を提示してもらえます。

ただし、若干、査定サイトは「売却誘導」させたいがために高めの査定額が提示されることが多いので、(市場価格・実勢価格・流通価格)は、8割~9割ぐらいになると考えておいた方が良いでしょう。

おすすめの不動産査定サイトはこちら

不動産リースバックの高値売却のコツ

不動産リースバック査定の計算方法は

買取額 = 売却想定額(市場価格 × 掛け目) - 解体費用(修繕費用) - リースバック業者の経費 - リースバック業者の期待利益

です。

  • 市場価格の査定は、どのリースバック業者でも大きく変わらない
  • 掛け目は、どのリースバック業者でも大きく変わらない70%
  • 解体費用(修繕費用)は、どのリースバック業者でも大きく変わらない
  • リースバック業者の経費は、リースバック業者によって若干異なる
  • リースバック業者の期待利益は、リースバック業者によって大きく異なる

という特徴があります。

市場価格や掛け目、解体費用(修繕費用)というのは、どのリースバック業者に依頼してもほぼ同じです。

大きく差が出てくるのは「リースバック業者がどのくらいの経費を見込んで、どのくらいの利益を取りたいのか?」という金額です。

これは、リースバック業者ごとに異なり

「期待利益を下げても、物件数・実績が欲しい」と考えるリースバック業者もあれば
「多くの買取をするよりも、利益率を上げたい」と考えるリースバック業者もあれば
「退去後にリノベーションで稼げるから、利益率は低くても良い」と考えるリースバック業者もあれば
「退去後に新築戸建を分譲して稼げるから、利益率は低くても良い」と考えるリースバック業者もあれば
「定期賃貸借契約の延長ができない設定の分、期待利益は低くできる」というリースバック業者もあれば
「キャッシュが余っているので、期待利益は低くできる」というリースバック業者もあります。

千差万別の考え方があるのです。

「どういう経営方針で、どういう利益を見込んでいるのか」の具体的な数値は、対外的に公開されるものではありません。

つまり、少しでも高値で不動産リースバックをしたいのであれば

1社でも多くの不動産リースバック業者に査定依頼(見積もり依頼)をして、一番高く査定してくれるところに依頼する

というのが「確実な方法」なのです。

これ以外の方法は、ほぼありません。

teacher
大切なマイホーム、人生で最大の買い物であるマイホームを売却するのですから、少しでも高く売却したいのが多くの方の考えだと思います。だとすれば、多少の労力(やり取りの負担)があったとしても、できるだけ多くの不動産リースバックに申し込んで、相見積もりをすることをおすすめします。

不動産リースバックの高値売却の注意点

家賃(リース料)との兼ね合いもあるので注意

リースバックの場合は「査定額が高いこと」だけが正義ではありません。

査定額がいくら高くても、毎月の支払う家賃(リース料)が高く設定されていて、返済が厳しくなってしまうことが予想されるのであれば、良い不動産リースバックとは言えません。

  • 家賃(リース料)の安さを重視するのか?
  • 買取額(売却額)の高さを重視するのか?

両方のバランスを見ながら、理想の不動産リースバック業者を見つける必要があります。

基本的には

  • 買取額(売却額)が高ければ高いほど、家賃(リース料)は高くなる
  • 買取額(売却額)が安ければ安いほど、家賃(リース料)は安くなる

関係にあります。

ただし、不動産リースバック業者がどのくらいの利回りを期待するのか?(期待利回り)によっても、このバランスは変動します。

期待利回りとは
投資する側の不動産リースバックが見込む「年間の家賃収入 / 投資額(買取額)」の割合のこと

を言います。

不動産リースバックでは5.0%~10.0%が相場です。

期待利回りが低ければ低いほど、買取額(売却額)に対して、家賃(リース料)の負担が低いことになります。
teacher
「家賃(リース料)」と「買取額(売却額)」のバランス、「期待利回り」を調べる意味でも、多くの不動産リースバックに相見積もりすることをおすすめします。
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