【完全解説】不動産リースバックとは?不動産リースバックの仕組み・メリットデメリットをどこよりもわかりやすく解説

man
「不動産リースバックって何?」
「不動産リースバックのメリットデメリットを知りたい。」

今回は、不動産を利用して資金調達する、不動産担保ローンとは違った商品「不動産リースバック」について解説します。

不動産リースバックとは?

不動産リースバックとは

マイホームを売却して、売却代金を受け取ったうえで、そのマイホームに家賃を支払って住み続ける仕組みのこと

を言います。

不動産リースバックの仕組み

  1. 【利用者】何らかの事情で急にお金が必要になった。
  2. 【利用者】マイホームを売却(所有権の移転)
  3. 【不動産リースバック業者】購入代金を支払
  4. 【利用者】購入代金を得る(まとまった資金を得る)
  5. 【不動産リースバック業者】利用者に購入した物件を賃貸として貸す
  6. 【利用者】毎月、家賃(リース料)を不動産リースバック業者に支払う。

解説

不動産リースバックは、

grandpa
「何らかの事情で、まとまったお金が必要になった。自宅を売るしかないかもしれない。」
「ただ、どうしても、今の家に住み続けたい。」

という2つのニーズを持った方の選択肢です。

不動産リースバックでは

  1. マイホームを不動産リースバック業者に売却します。
  2. 売却するので、不動産リースバック業者に所有権は移ります。
  3. 売却ですので、売却額は不動産リースバック業者から、不動産リースバックの利用者、つまり「売却した方」に支払われます。

ここまでは、通常の不動産売却と同じですが、不動産リースバックの場合は、ここからが違います。

不動産リースバック業者は、購入資金を支払、所有権を得た物件を、不動産リースバックの利用者に賃貸で貸すのです。不動産リースバックの利用者は、家賃(リース料)を不動産リースバック業者に毎月支払うことになります。

家賃(リース料)の支払いが発生しますが、自宅を売却して、まとまった資金を得ることができるのです。

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どんなときに不動産リースバックが活躍するのか?

不動産リースバックが活躍するシチュエーション

シチュエーションその1.借金返済で不動産リースバック

  • 「カードローンの返済が苦しい。」
  • 「住宅ローンの返済が苦しい。」
  • 「会社経営が失敗して、借金が残ってしまった。」
  • 「保証人になってしまい、借金を背負ってしまった。」
    ・・・

借金は早めに完済しなければ、利息が膨らんでしまうものです。

  • 「自宅を売却して、借金を返済したい。」

という考えに至るのは当然なのですが

  • 「自宅を売却したら、近所の人に何て噂されるかわからない。」
  • 「子供が近所の小学校や中学校に通っているので、離れるわけにはいかない。」
  • 「思い出のあるこの家を手放したくない。」
    ・・・

という状況が起こりやすいのです。

この状況で不動産リースバックを利用すれば

家賃(リース料)は発生しますが、借金も返済できて、長年住み続けた我が家に住み続けることができるのです。

シチュエーションその2.老後資金のために不動産リースバック

  • 「年金だけで毎月の生活費が不足している。」
  • 「老後の生活を充実させるために旅行に行きたい。」
  • 「病院に行く医療費が足らない。」
  • 「家を相続してくれる人がいない。」
  • 「子供や孫などに相続する必要がない。」
  • 「頑張って購入した自宅だから、相続をせずに売却資金で充実した老後生活を送りたい。」
    ・・・
というニーズの場合も、環境の変化を望んでいるわけではないので、不動産リースバックが活躍するのです。

シチュエーションその3.まとまった資金が必要な時に不動産リースバック

  • 「会社を立ち上げるのに起業資金が必要」
  • 「インプラントや美容整形など自由診療の治療を受ける資金が必要」
  • 「子供の学費が必要」
    ・・・
「まとまった資金がどうしても必要だ。」という場合には、自宅の売却も選択肢になりますが、「今の住んでいる環境を変えるのは嫌だ。」という方にに不動産リースバックが活躍するのです。

シチュエーションその4.相続税の支払に不動産リースバック

  • 「相続税が払えないが、まだ母親が健在だから、自宅を売るわけにはいかない。」

相続税は、10カ月以内に納税しなければなりません。しかし、土地や自宅などの評価額が大きい場合は、納税の現金がなく、自宅や土地を売却しなければなりません。

しかし、まだその家に妻(夫)が暮らしている場合は、売却するわけにも行きません。

このような状況下では、住み続けながら自宅を売却して、納税資金をねん出できる不動産リースバックが活躍するのです。

シチュエーションその5.会社の自社ビルをリースバック

会社が自社ビルを保有している場合、景気が良いときは収益がローン返済を上回るため、全く問題ありませんが

  • 会社が業績が落ちてきた。
  • 会社の引っ越し費用もバカにならない。
  • 工場が近くにあるから移転できない。
    ・・・

というようなケースでは、持ち家ではありませんが、リースバックの選択肢が出てくるのです。

リースバックにすれば、家賃は経費になりますし、そのまま会社経営を継続することができます。売却資金分、資金繰りも楽になるメリットもあるのです。

不動産リースバックのメリット

メリットその1.売却するのでまとまった資金が手に入る!

不動産リースバックは「自宅を売却する」形になります。

不動産を売却するのですから、数千万円、数百万円のそれなりにまとまった金額が一括で受け取れます。

一括でまとまった資金が手に入るので

  • 生活資金
  • 借金返済
  • 高額な買い物
  • 高額な医療費
  • 納税資金
  • 事業資金
  • 教育資金
    ・・・

など、いろいろな用途に資金を活用することができるのです。

資金使途は自由です。

メリットその2.「買い戻し」ができる!

不動産リースバックは「売っておしまい」ではありません。

  • 家賃(リース料)を支払って住み続ける
  • 住み続けるのをあきらめて退去する
  • 買戻して、もう一度所有する

という選択肢があるのです。

一時的に資金が必要で売却せざるを得ない状況になったとしても、一定額の資金を用意できれば「買い戻す」ことができるのです。

通常の不動産売却で、家を売ってしまうと、第三者の手に渡ってしまい、買い戻すことはほとんどできなくなってしまいます。

しかし、不動産リースバックであれば、将来の買戻し前提で、一時的に資金調達することができるのです。

メリットその3.誰にも知られない!

不動産売却で自宅を売却した場合には

近所の方に売却した事実がバレる可能性が出てきます。

売却のときは

  • 近所の不動産屋に掲示されたり
  • 不動産のウェブサイトに掲載されたり
  • 近所の電柱に貼られたり
    ・・・

買い手を募集するために、近所を中心に広告宣伝されてしまいます。

当然、売却後に引っ越したとしたら、「持ち家を売ったのかしらね。」と感づかれてしまうのです。

近所の方がそれを見てしまえば、「自宅を売却して家計が苦しいのかも」と勘繰られて、噂されてしまうリスクもあるのです。

不動産リースバックであれば、引っ越しも不要ですし、広告宣伝も不要です。誰にもバレずに、自宅を売却することができるのです。

メリットその4.固定資産税が不要

自宅は所有しなくなるので、固定資産税は支払う必要がなくなります。

メリットその5.火災保険も安くなる

所有しているときに加入する火災保険は解約して構いませんので、賃貸住宅としての火災保険(家財保険)の加入になります。

火災保険料も安くなります。

メリットその6.ローン審査が不要

あくまでも、不動産リースバックは「不動産売却」ですので、ローンのような信用情報の審査は必要ありません。

  • 債務整理・自己破産の経験をしている
  • 返済事故を起こしている
  • 数社から借金をしている
    ・・・

という通常はローンが組めない属性の方でも、不動産リースバックは利用できる可能性が高いのです。

当然、保証人なども不要です。

不動産リースバックのデメリット

デメリットその1.通常の不動産売却よりも、売却額は安くなる可能性が高い

不動産リースバックは通常の不動産売却と比較して、売却額が低くなる傾向があります。

不動産リースバック業者は

  • 自由に所有した物件を売却できない
  • 不特定多数の方に物件を賃貸の募集ができない
  • 「買い戻し」依頼に対応しなければならない
    ・・・
通常の不動産売却と比較して制限があるため、その分、査定額が低くなってしまうのです。

ちなみに査定額を低く設定すればするほど、「買い戻し」のハードルは低くなります。

「少しでも高く売りたい。」

というのであれば、不動産リースバックよりも、通常の不動産売却の方が向いているのです。

デメリットその2.通常の賃貸物件よりも、家賃(リース料)が高くなる可能性が高い

不動産リースバック業者は

  • 不特定多数の方に物件を賃貸の募集ができません。
  • 「買い戻し」依頼に対応しなければならない
    ・・・

と、賃貸物件の運用面でも、制限があるのです。

また、不動産リースバックの家賃(リース料)というのは

  • 売却額が高ければ高いほど → 不動産リースバックの家賃(リース料)が高い
  • 売却額が低ければ低いほど → 不動産リースバックの家賃(リース料)が低い

関係にあります。

少しでも、高額な資金を手に入れようとすれば、不動産リースバックの家賃(リース料)が高くなってしまうのです。

家賃のことだけを考えたら、不動産売却で高額な資金を手に入れた上で、別の賃貸物件に住む方が安上がりになります。

デメリットその3.不動産リースバックを提供している業者が少ない

「不動産リースバック」というのは、ここ2年~3年で伸びてきた不動産売却の新しい形です。

まだまだ、不動産リースバック業者というのは少なく、利用者の選択肢が少ないのです。

不動産リースバックを利用する注意点

住宅ローン残債よりも、自宅の売却価格(査定価格)が低かったら利用できない!

不動産売買でも同じですが

住宅ローン残債 < 自宅の売却価格(査定価格)

の状態でないと、売却が成立しません。債権者である銀行が売却にOKを出さないからです。

「借金」の方が「資産価値」よりも大きい状態だからです。

住宅ローンを利用している場合に、十数年返済を継続していれば

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「かなり住宅ローンは返済してきたから、自宅の資産価値よりも少なくなっているだろう。」

と思ってしまいがちなのですが、

実際に計算してみると、

  • 思った以上に住宅ローンの元本が減っていない
  • 思った以上に物件の価値が下がっている
  • 新築物件で購入していれば、新築のプレミアムは剥がれてしまっている
    ・・・

などの問題から、

住宅ローン残債 < 自宅の売却価格(査定価格)

というケースが少なくないのです。

この場合は、いくら不動産リースバックを利用したくても、断られてしまうのです。

安定した収入が必要!

不動産リースバックは、ローンではありません。

そのため、ローンのような審査は発生しません。

しかし、「リース」というは「賃貸」のことですので「家賃が払えるかどうか」の審査は必要になるのです。

賃貸物件を借りる時の審査のようなものです。

  • 給与収入でも、
  • アルバイト収入でも、
  • 年金収入でも、
  • 生活保護でも、
    ・・・

構いませんが

  • 安定した収入があること
  • 毎月の家賃(リース料)が無理なく払える収入であること

が不動産リースバックを利用する条件となっているのです。

不動産所有者全員の同意が必要

不動産リースバックは、不動産を一旦売却する仕組みですので

不動産所有者(名義人)全員の同意が必要なのです。

単独名義であれば、その人の判断でリースバックは利用できますが、共有名義の物件の場合は、名義人全員の同意が必要なのです。

名義人の一人でも、反対している状況では、不動産リースバックは利用できません。

返済遅延があり、差し押さえされている場合には不動産リースバックは利用できない

住宅ローンの支払を滞納してしまって

  • 任意売却
  • 競売

になってしまう、という状況下では、不動産リースバックは利用できない可能性が高いです。

支払が滞納されている状況では、債権者(銀行や保証会社)は、できるだけ債権を回収しなければなりません。

少しでも、高く売れる「任意売却」「競売」は良くても、安くしか売れない「不動産リースバック」は選択肢に入らないのです。

住宅ローンの支払を滞納している場合は、債権者の同意を得なければ不動産リースバックは利用できません。そのため、不動産リースバックは利用できない可能性が高いのです。

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まとめ

不動産リースバックとは

  • マイホームを売却して、売却代金を受け取ったうえで、そのマイホームに家賃を支払って住み続ける仕組みのこと

を言います。

不動産リースバックの仕組み

  1. 【利用者】何らかの事情で急にお金が必要になった。
  2. 【利用者】マイホームを売却(所有権の移転)
  3. 【不動産リースバック業者】購入代金を支払
  4. 【利用者】購入代金を得る(まとまった資金を得る)
  5. 【不動産リースバック業者】利用者に購入した物件を賃貸として貸す
  6. 【利用者】毎月、家賃(リース料)を不動産リースバック業者に支払う。

不動産リースバックが活躍するシチュエーションは

  1. シチュエーションその1.借金返済で不動産リースバック
  2. シチュエーションその2.老後資金のために不動産リースバック
  3. シチュエーションその3.まとまった資金が必要な時に不動産リースバック
  4. シチュエーションその4.相続税の支払に不動産リースバック
  5. シチュエーションその5.会社の自社ビルをリースバック

等があります。

不動産リースバックのメリット

  1. メリットその1.売却するのでまとまった資金が手に入る!
  2. メリットその2.「買い戻し」ができる!
  3. メリットその3.誰にも知られない!
  4. メリットその4.固定資産税が不要
  5. メリットその5.火災保険も安くなる
  6. メリットその6.ローン審査が不要

不動産リースバックのデメリット

  1. デメリットその1.通常の不動産売却よりも、売却額は安くなる可能性が高い
  2. デメリットその2.通常の賃貸物件よりも、家賃(リース料)が高くなる可能性が高い
  3. デメリットその3.不動産リースバックを提供している業者が少ない
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不動産リースバックは「自宅に住み続けたい。でも、まとまった資金が必要。」という方におすすめできる自宅の活用方法です。「買い戻す」こともできるので、選択肢が多くあるのです。ただし、利用できる条件があったり、デメリットも少なくありません。十分に不動産リースバックのメリットデメリットを理解した上で、利用の判断をする必要があります。
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