不動産担保ローンを利用した経験のある方は、それほど多いとは思えません。今回は、不動産担保ローンのよくある相談をまとめました。また、不動産担保ローンを相談すべきなのは、誰なのか?相談すべき人についても解説します。
不動産不動産担保ローンのよくある相談
相談その1.住宅ローンを借り入れ中でも、不動産担保ローンを借りられますか?
回答:借りられます。
住宅ローンを借り入れ中に不動産担保ローンを借りることは可能です。
ただし、条件として
である必要があります。
という状態(オーバーローン)では、担保不動産を売却しても、住宅ローンを完済できないからです。担保としての価値がないのです。
相談その2.不動産担保ローンでいくら借りられますか?
回答:不動産の担保価値によって借りられる金額が決まってきます。
不動産担保ローンでは
というのが一般的な設定です。
3,000万円で売れると判断できる不動産の場合、2,100万円までの借り入れができるという計算になります。
もちろん、これはローンがないことが前提ですので
住宅ローン残債が2,000万円で、売却したら3,000万円で売れると判断できる不動産の場合
となるのです。
「どうやって担保価値を算定すれば良いのですか?」
基本的には
- 土地
- 建物
分けて計算します。
土地
- 固定資産税評価
- 路線価
などで試算し、
建物
- 再調達価格
で評価することが多いです。
細かい計算方法はこちら
不動産担保ローン会社が専門的な目線で査定してくれますし、実際に借りられるかどうかも、わかるので一番確実な方法です。2社、3社の相見積もりをすれば、適正価格も簡単にわかります。
相談その3.家族にバレずに不動産担保ローンで借りられますか?
回答:家族にバレずに借りられます。
不動産担保ローンを借りる方の事情はいろいろなものがあり
「親にバレたくない」
「子供にバレたくない」
「妻にバレたくない」
という方が少なくありません。
ご自身が所有している不動産であれば、家族に内緒で不動産担保ローンを借りることができます。
事前に郵送物などがご自宅に届かないように不動産担保ローン会社に事情を話しておく必要があります。
また、ご家族の方が不動産の登記情報を確認する可能性はほとんどないと思いますが、不動産担保ローンを利用するときには抵当権を設定しなければならないため、不動産の登記情報を見れば、バレてしまう可能性があることは理解しておく必要があります。
相談その4.自分以外の所有者の不動産を担保に不動産担保ローンは借りられますか?
回答:借りられます。
不動産担保ローン会社によって異なりますが
- 両親、祖父母、兄弟姉妹の所有する不動産であれば担保にできる不動産担保ローン
- 三親等以内の家族の所有する不動産であれば担保にできる不動産担保ローン
- 親族の所有する不動産であれば担保にできる不動産担保ローン
- 経営する会社の役員の所有する不動産であれば担保にできる不動産担保ローン
- 第三者の所有する不動産も担保にできる不動産担保ローン
ただし、所有者に「連帯保証人」になってもらう必要があるの注意が必要です。
自分の所有不動産であれば、返済できなくなったときに不動産が売却されてしまっても、自己責任ですが、他人の所有する不動産で、同じことが起これば、家族関係や友人関係は破綻してしまいます。十分に注意する必要があります。
相談その5.最短でどれくらいで不動産担保ローンを借りることができますか?
回答:3日が目安です。
不動産担保ローンの場合は、不動産の担保評価をしなければならないので「現地調査」というフローが絶対に必要になってきます。
机上査定で、いくら貸せるかなどの概算の査定はできるのですが、実際に現地を見てみないことには、法令や隣地境界線などの確認ができないからです。
相談その6.不動産担保ローンの審査に不安があるのですが、不動産担保ローンを借りることができますか?
回答:ケースバイケースです。
担保不動産に問題があるケース
- 離島、僻地の不動産 → 売却できないため、不動産担保ローン審査に通らない可能性が高いです。
- 地方の不動産 → 売却できる余地があれば、不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
- 二番抵当以下の不動産 → 不動産担保価値が抵当権の設定額よりも、大きければ不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
- 再建築不可の不動産 → 不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
- 共有持分(共有名義)の不動産 → 共有持分者の同意が得られれば不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
- 借地権の不動産 → 地主の同意が得られれば不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
申込者本人に問題があるケース
- 債務整理中 → 不動産の担保がしっかりしていれば不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
- 無職 → 不動産の担保がしっかりしていれば不動産担保ローン審査にも通る可能性があります。
相談その7.不動産担保ローンで借り換えはできますか?
回答:できます。
不動産担保ローンでも、借り換えは普通にできます。
高金利の不動産担保ローンから、低金利の不動産担保ローンに借り換えることで、返済メリットを享受することができます。
ただし、注意しなければならないのは
不動産担保ローンの場合は、全額繰り上げ返済(借り換え)する場合に違約金(残債の3.0%程度)が発生するものが少なくありません。違約金が発生してしまうと、借り換えメリットはほとんど発生しなくなってしまうため、注意が必要です。
借り換え前に確認しておく必要があります。
相談その8.不動産担保ローンで借りた資金は何に使っても良いのでしょうか?
回答:原則、使途自由ですので、何に使っても問題ありません。
不動産担保ローンは、一般的に
使途自由
の設定になっているため、何に使っても、問題ありません。
ただし、資金使途が限定されている不動産担保ローンを利用する場合はこの限りではありません。
- つなぎ融資のための不動産担保ローン → つなぎ融資にしか使えない
- アパートローン(不動産投資ローン) → 不動産投資資金にしか使えない
- セカンドハウスローン → 別荘などのセカンドハウスの購入費にしか使えない
- 法人向け不動産担保ローン → 事業資金にしか使えない
- 個人向け不動産担保ローン → 事業資金には使えない
- 住宅購入ローン → 住宅の購入費用にしか使えない
という形です。
相談その9.不動産担保ローンを利用するのと、不動産売却を利用するのはどっちが良いでしょうか?
回答:状況によって異なります。
不動産担保ローンも、不動産売却も、資金を調達する方法という意味では同じです。
大きく違うのは
不動産担保ローン
- 不動産は自分が所有し続けられる(返済ができなくなれば売却される)
- 借りられる金額は、不動産価値の70%
- 最短3日で借り入れ可能
- 審査がある
不動産売却
- 不動産価値の100%で売却できる
- 所有権は失う
- 売却までは1カ月~3カ月ぐらいかかる
- 審査は不要
という点です。
- 比較的早く資金が必要 → 不動産担保ローン
- 不動産を所有し続ける理由がある → 不動産担保ローン
- 少しでも高額な資金が必要 → 不動産売却
- 不動産担保ローンの審査が通らない → 不動産売却
と、状況に応じて「不動産担保ローン」なのか「不動産売却」なのか、を選択する必要があります。
不動産担保ローンは誰に相談すべきか?
不動産担保ローンを借りるときに相談すべき人は
- ファイナンシャルプランナーでしょうか?
- 不動産会社の担当者でしょうか?
- 税理士でしょうか?
- 顧問弁護士でしょうか?
- 会計士でしょうか?
基本的に
「何を相談するのか?」にもよりますが?
不動産担保ローンを借りるべきかどうか?
という相談であれば
個人の方
- → ファイナンシャルプランナー
法人経営者の方
- → 財務コンサルタント
- → 税理士
- → 会計士
に相談すれば良いでしょう。
不動産担保ローンを借りることが決まった前提で
- そもそも、自分は借りられるのか?
- いくら借りられるのか?
- いつまでに借りられるのか?
という相談に関しては
1社かだけですと、返答が偏ってしまい、融資額、融資スピード、審査についても、その不動産担保ローン会社の判断でしか評価できないため、2社~3社と複数の不動産担保ローン会社に相談する必要があるのです。
不動産担保ローンを利用するのが決まっていない段階で、不動産担保ローン会社の担当者に相談してしまうと、当然自社のサービスを使ってもらいたいので、不動産担保ローンを勧められます。これでは公平な回答にはならないので、不動産担保ローンを利用するのが決まっていないのであれば、資金管理、ライフプランの専門家に相談すべきです。
「不動産担保ローンの相談は誰にすれば良いの?」