定期借地権付きの建物は担保になるか|借地借家法22〜24条の3類型と、残存期間が評価の上限になる理由

借地の上に建っている建物を担保に入れたいとき、まず確かめるべきなのは借地権の種類です。更新のある普通借地権と、更新のない定期借地権では、担保としての見え方がまったく違います。定期借地権は期間が来れば必ず終わり、更新も建物買取請求もありません。残りの年数がそのまま建物の価値の上限になります。2026年10月16日に、借地借家法の条文をe-Gov法令検索で確かめ、3つの定期借地権の違いを整理しました。

先に結論

定期借地権には3種類あります。一般定期借地権(22条・50年以上)、事業用定期借地権等(23条・10年以上50年未満)、建物譲渡特約付借地権(24条・設定後30年以上)です。

いずれも契約の更新がなく、建物買取請求もできません。期間が満了すれば建物を壊して土地を返すのが原則です。

担保評価は、残存期間で決まります。返済期間が残存期間を超える計画は組めません。

借地借家法22条から24条に3つの型がある

借地借家法の第2章第4節は「定期借地権等」という節で、3つの類型を順に定めています。共通しているのは、契約の更新と建物の築造による存続期間の延長がなく、13条の建物買取請求をしないこととする旨を定められる、という点です。

e-Gov法令検索の画面。借地借家法の第22条(定期借地権)、第23条(事業用定期借地権等)、第24条(建物譲渡特約付借地権)、第25条(一時使用目的の借地権)が表示されている
e-Gov法令検索「借地借家法」第22条〜第25条(2026年10月16日取得)
定期借地権3類型の比較(借地借家法22条〜24条)
項目 一般定期借地権(22条) 事業用定期借地権等(23条) 建物譲渡特約付借地権(24条)
存続期間 50年以上 10年以上50年未満 設定後30年以上を経過した日に譲渡
建物の用途 制限なし(居住用も可) 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く) 制限なし
契約の方式 公正証書による等、書面(電磁的記録でも可) 公正証書によらなければならない 条文に方式の定めなし
期間満了時の建物 更新なし・買取請求なし 更新なし・買取請求なし(10年以上30年未満は3条〜8条・13条・18条が適用されない) 相当の対価で借地権設定者へ譲渡される
担保として見るときの軸 残存期間と建物の償却 短い期間設定が可能なぶん残存期間が読みにくい 譲渡の日以降、建物の所有者が変わる

23条は内部で2つに分かれます。1項は存続期間30年以上50年未満で、更新と延長がなく買取請求をしないと定められるもの。2項は存続期間10年以上30年未満で、こちらは3条から8条まで、13条、18条の規定が最初から適用されません。3項は、1項・2項の借地権の設定契約は公正証書によらなければならないと定めています。書面ならよい22条と違い、公正証書が必須です。

建物譲渡特約付借地権は、途中で所有者が変わる

24条の建物譲渡特約付借地権は、3つの中で性格が異なります。借地権を消滅させるため、設定後30年以上を経過した日に、土地の上の建物を借地権設定者(地主)に相当の対価で譲渡する旨を定められる、という仕組みです。

建物譲渡特約付借地権で起きること

設定時借地権を設定し、30年以上を経過した日に建物を地主へ譲渡する特約を結ぶ
譲渡の日建物が相当の対価で地主へ移り、借地権は消滅する
譲渡後も住み続ける場合借地権者や建物の賃借人が請求すれば、期間の定めのない賃貸借がされたものとみなされる。借地権に残存期間があるときは、その残存期間が存続期間になる
借賃の決め方当事者の請求により、裁判所が定める

担保の観点では、この譲渡の日が重要です。その日を過ぎると建物の所有者が地主へ移るため、建物に設定した抵当権の扱いを契約時に詰めておく必要があります。返済期間が譲渡の日をまたぐ計画は、そのままでは成り立ちません。

残存期間が、借りられる期間の上限になる

定期借地権付きの建物を担保にする場合、金融機関が見るのは建物の築年数だけではありません。期間満了で借地権が終わると、建物は取り壊して土地を返すのが原則です。つまり担保としての価値は、残存期間とともに目減りしていきます。

定期借地権付き建物を担保に出すときに確かめること

  1. 借地権の種類。普通借地権か、22条・23条・24条のどれか
  2. 登記事項証明書と契約書で、存続期間の始期と終期を確認する
  3. 残存期間が、希望する返済期間より長いか
  4. 23条の借地権なら、公正証書になっているか
  5. 24条の借地権なら、建物譲渡の日がいつか
  6. 借地権が賃借権か地上権か。賃借権には抵当権を設定できない

最後の1点は見落としやすいところです。借地権には地上権と賃借権の2種類があり、抵当権を直接設定できるのは地上権だけです。賃借権の場合は建物に抵当権を設定し、従たる権利として借地権が付いてくる形になります。この違いについては借地権付き建物は担保に入れられる?でも扱っています。

22条の特約は、書面か電磁的記録でなければならない

一般定期借地権の特約には方式の定めがあります。22条1項後段は、その特約は公正証書による等書面によってしなければならない、としています。公正証書でなくてもよいが、口頭では成立しない、という読み方になります。

2項は、この特約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなして1項後段を適用すると定めています。電磁的記録の定義も条文の中に置かれており、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとされています。

担保の審査では、この方式を満たしているかが確認の対象になります。方式を欠いた特約は効力を持たず、その場合は普通借地権として扱われることになります。更新のある借地権なのか、期間が来れば終わる借地権なのかは、担保評価の前提そのものです。契約書の形まで見ておく理由がここにあります。

一時使用目的の借地権は、また別の扱い

25条は、臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合には、3条から8条まで、13条、17条、18条および22条から前条(24条)までの規定を適用しないと定めています。工事現場の仮設事務所のような用途が想定されています。

この類型は、借地借家法が用意している保護の多くが外れます。期間の下限もなく、更新も建物買取請求もありません。担保として扱えるものではないと考えるのが実際的です。

契約書と登記を両方そろえる。定期借地権かどうかは登記だけでは分からないことがある。特約の内容は契約書で確かめる

公正証書の有無は23条で決定的。事業用定期借地権等は公正証書によらなければならないと条文が定めている

返済期間は残存期間の中に収める。期間満了後に残る返済は、担保の裏付けを失った状態になる

普通借地権との違いをどう説明するか

普通借地権と定期借地権で、担保の見え方がどう変わるか
見る点 普通借地権 定期借地権
契約の更新 更新がある 更新がない
建物買取請求(13条) できる しないこととする旨を定められる
期間満了後 条件が整えば使い続けられる 原則として建物を壊して土地を返す
担保評価の考え方 建物と借地権を合わせて評価しやすい 残存期間で頭打ちになる
地主の承諾 譲渡・転貸には承諾が要る(19条の裁判所の許可あり) 同じく承諾が要る

借地権付きの物件は、所有権の物件に比べて担保評価が下がります。ただし「借りられない」という意味ではありません。残存期間が十分にあり、地主の承諾が得られ、借地権の種類がはっきりしていれば、検討の対象になります。

実務で詰まりやすいのは、地主との関係です。借地権の譲渡や転貸には地主の承諾が要るため、競売になった場合に買受人が借地権を引き継げるかどうかが問題になります。借地借家法19条は、地主が承諾しないときに裁判所が承諾に代わる許可を与える手続きを用意していますが、手続きと時間がかかります。貸す側はこの手間を織り込んで評価するため、同じ建物でも所有権の土地が付いている場合より掛け目が厳しくなります。

逆に言えば、地主が借地権の譲渡についてあらかじめ理解を示している場合や、地主自身が建物譲渡特約の当事者になっている24条の類型では、その不確かさが小さくなります。借地権の種類を先に確かめるべきなのは、残存期間を測るためだけでなく、この出口の読みやすさが類型ごとに違うからです。

担保評価そのものの仕組みは不動産の評価額は4つある、土地と建物の所有者が分かれる場面の法定地上権は土地だけを担保に入れるとどうなる?にまとめています。

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